食事制限のお客様

外国人に食べ物を勧めるときに、注意しなければならないことがあります。

ベジタリアン、宗教上の制限、食品アレルギーなど、日本人の間ではあまり気を使わなくて済んだようなことで、食べ物に制約をもつ方が結構多いことを感じています。

 

■ベジタリアン

 

先日、日本食を食べたいと言うアメリカ人女性を道の駅にある日本食レストランに案内したのですが、席についてから、「私はベジタリアンなので、肉や魚は食べない。入っていないものは何ですか?」と言われ、困りました。

 

そのレストランでは地元産の食材を使った、トン汁定食、牛丼、かつ丼、カレーライス、おにぎり定食、などが提供されていました。店の人にベジタリアン食があるかと聞いても、そんなものはない、とのこと。近くに他のレストランはなく、そこで食べるしかなかったのです。

 

おにぎりの具にも明太子が入っていて、食べるものが見当たらないので、特別にお願いして明太子を昆布に変更してもらい、それを食べてもらいましたが、お客様は結局半分以上残してしまいました。

 

教訓としては、なるべく多くのメニューがあるレストランを選ぶこと、食べ物の制限事項を事前に確認しておくこと、が重要と思いました。

 

■イスラム系の方の食事

 

イスラム教では、豚肉を食することが禁じられているが、その他の食品でも加工や調理に関して一定の作法が要求されています。この作法が遵守された食品がハラール(許されたもの)として、食べてよいものとされているようです。

 

先日、インドネシア人のお客様を成田山に案内した時、日本食を食べたらどうかと色々なレストランの前で料理の説明をしましたが、結局、入りませんでした。理由を聞いたところ、実はイスラム教徒でハラールと認定された食品しか食べないとのこと。

 

イスラム系の国からのお客様にはこのような事情がある可能性があることを念頭に、接客する必要があることを痛感しました。

 

■食品アレルギー

 

食品アレルギーのある人に、不注意に試食などをさせてしまうと大変なことになります。

 

ご家族3人のアメリカ人を成田山の表参道を案内したとき、羊羹店の試食をしてみたらと、私が親切心で子供に勧めたのですが、そのとたん、母親がびっくりして止めました。その子供はピーナッツ・アレルギーがあって、携帯している食品しか食べさせていないとのことでした。食べさせたら、じんましんや発作を引き起こしていたかもしれません。ヒヤッとしました。

 

また都内を案内したカップルの男性が「gluten-free」のメニューがあるレストランに行きたいと、言ってきました。

調べたところ、グルテンとは小麦粉に水を加えて練った生地を水中で洗い流していくと得られる粘性物質。主成分はグルテニンとグリアジンが結合してできるたんぱく質で、グルタミン酸を多く含むものです。麩(ふ)の原料です。このグルテンのアレルギーがあるので、食事に気をつけているそうです。

 

インターネット検索でグルテンフリーの食事を出すレストランは都内に何件かありますが、種類は少ないようです。

 

■事前に確認することが大事

 

お客様に「食べ物に対する制限事項」を事前に確認することが大変重要であることをこれからも意識して接客していこうと思います。

 

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